立ち退きとは英語でエバキュエーション(Evacuation)といい、老朽化した建物を建て替えて資産価値を高めるために必要不可欠な業務のひとつです。
老朽化し、経年変化や自然損耗の激しいマンション・アパートは見た目にも時代遅れで、空室が多くなり、さらに修繕費もかさみます。
また、滞納問題やクレームも新築物件と比べれば多くなる傾向にあり、社会問題ともなった「孤独死」などのトラブルも発生します。そのため、既存の建物を取り壊し、別の土地活用を考えた時に、立ちふさがる壁が「立ち退き問題」です。
既存建物の解体は物件が古くなればなるほど、住人も長年住んでいるために高齢入居者の割合が増え、立ち退き後の引越先も限られてきますし、契約をした際に取り交わした「賃貸借契約書の保証人」は他界されていたり連絡が取れなくなるケースが非常に多いのです。本来でしたら任せてある不動産管理会社が2年に1度の更新の際に連帯保証人には確認するべきことだと思いますが残念ながら殆どがなされていない状況です。
よっていざ立ち退きを考えた時に次の引越し先を探す時に
- 高齢になっていることにより身よりもなくなった。
- 生活支援受給者だったり、脳梗塞を患っていたりすると新居先の大家から了解が得られない。
- 家賃保証の会社を入れないと契約ができない(新家賃の0.5ヶ月~1ヶ月余分に費用が掛かる)
- 持病を持っている人も多く掛かりつけの医者に歩ける範囲でないと引っ越さない!
- 高齢になるとなかなか現在の住まいから離れたくない方が多く新居先物件が見つかりづらい。
といった問題が発生するケースが増えています。
よく「契約書の【特約】に“建て替え時には立退き料を請求せずに出て行く”と入れてあるから大丈夫だと思った」というトラブル事例も聞きますが、大家さんに一方的に有利(入居者に不利)な条文は無効となる旨が【借地借家法】に明記されておりますので、契約書どおりに行かないのが現代の立退き事情です。裁判で争っても築年数が45~50年だからとの観点からも判例上は弱者救済の立場から敗訴になるケースがほとんどです。
過去の立退きの解決例や判例に、似たようなケースがあったとしても、その事案について個々の事情、解決までのプロセスが千差万別で、しかも、感情・人間関係・家族関係などの計算式に出てこない要素も含んでおりますので、参考程度にしかなりません。
立ち退き業務は、法的にはオーナー様か建築会社、弁護士が代理人となって行うことができますが、権利調整には法律・不動産などの専門知識だけでなく、高いヒューマンスキルが求められます。賃借人と立ち退き交渉をよりスムーズに進めるために経験豊富なコンサルタントに相談する方法もあります。